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失敗しない、高齢者ホーム選びのために
高齢者ホームを選択する理由は、「安心・安全・安楽を求めて」「家族などに負担をかけないために」などさまざまあります。どの場合でも、せっかくの大きな決断を後悔することがないように、特に気をつけたいチェックポイントをまとめてみました。
経営者は誰なのか、運営母体はどうなのか?
理念や考え方を確認しましょう。
各施設の経営方針や考え方に共感できるか否かは大事なポイントです。経営者や施設を管理する施設長と直接話すと、スタッフ教育を重視しているかなど感じるものがあると思います。運営している会社の経営状態なども確認しましょう。
いくつかの施設を見学し、体験入居も積極的に行いましょう。
複数の施設を見学すると経験値が上がり、見る目が養われます。候補を絞ったらできれば体験入居して、入居者との接し方や、スタッフや他の入居者との相性、見学だけでは分からない夜間の雰囲気などをじっくり確認しましょう。
長く勤めているスタッフは多いのか?
保有資格や退職者の数などは重要事項説明書で確認しましょう。
夜間のスタッフの配置人数、スタッフの勤続年数、サービスの内容など気になる点を細かく記したのが「重要事項説明書」です。資料請求や見学の際に請求し、不明点はとことん質問して、納得いくまでチェックしましょう。
食は健康の源であり、楽しみです。
どんな食事が提供されているのか? じっくり確認しましょう。
食事が口に合うか合わないかはもちろん、塩分制限などにも対応可能かどうか確認しましょう。また、年を重ねるとかむ力や飲み込む力がどうしても低下します。先々を考え、その際の食事内容もチェックしておきましょう。
スタッフに対する研修制度は
充実しているでしょうか?しっかり実施されているでしょうか?
入居者に対してどう接するかや実際のケアの仕方など、介護技術や知識を学ぶ場のあるなしは、スタッフの意欲や質に大きく関わってきます。具体的にどんなスタッフ研修を実施しているのか、質問してみましょう。
退去時にかかる金額や、入居一時金のことなど、
お金のことは事前にチェックしましょう。
一般の賃貸物件同様、施設退去時には原状回復費がかかります。また施設によっては最初に「入居一時金」を払う場合もあります。入居期間が短かった場合の返還ルールや、入院中の家賃など、お金に関する点は徹底的に確認しましょう
自分にベストな高齢者ホームとは
「終(つい)のすみか」とも言われる高齢者ホームですが、施設の内容や受けられるサービス内容がさまざまだということをご存知でしょうか。自分や家族にとってベストな選択をするために、まずは高齢者ホームにどんな種類があるのかを確認しておきましょう。
現在と将来の健康状態などを考慮して最適な選択をしましょう。
高齢者ホームにはいくつも種類がありそれぞれに特徴があります。よく耳にする「特養」は公的な補助金を受けて運営していることから費用が手頃なため、人気は高いのですが、申し込めるのは要介護3以上と入居基準は厳しくなっています。また、リハビリを行い運動機能の回復を図る「老健」は長期入所が困難です。どちらも入居待ちの人が多くなかなか入居できない場合があります。
一方、民間運営の施設は「介護付有料老人ホーム(介護付き)」「住宅型有料老人ホーム(住宅型)」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」など。「介護付き」は、介護や生活をサポートするスタッフがホーム内に常駐しており、切れ目なく介護を受けられるのが特徴。一方の住宅型やサ高住※は、バリアフリーなどの設備を整えた高齢者向けの賃貸住宅と考えるといいでしょう。常駐しているのは見守りや生活相談に乗ってくれるスタッフで、介護が必要になったら、訪問介護やデイサービスなど外部の介護サービスを必要に応じて利用します。
民間運営のホームは元気なうちから入居できる場合が多いので、まださほど不自由を感じていない段階でも、快適で安心できるホームに入居し、将来の不安を払拭(ふっしょく)するのもひとつの選択です。ホームの選択肢をケースごとに下図にまとめましたが、実態や雰囲気は施設ごとにまちまちです。気になるホームがあればまず資料請求をし、実際に見学に訪れたり体験入居したりして、じっくり検討しましょう。
※特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設を除く
CASE 1
元気なうちに安心できるホームに移っておきたい。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム(混合型)
CASE 2
病院から退院。自宅暮らしは当面無理と感じる。
- 老健(介護老人保健施設)
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
CASE 3
自宅暮らしが不安・不便になってきた。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
- グループホーム
CASE 4
介護度が上がって自宅暮らしが難しい。
- 特養(特別養護老人ホーム)
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
- グループホーム
※特養は、要介護3以上になると応募資格が得られる。
※グループホームは、認知症の人がヘルパーの支援を受けながら共同生活を行う施設